蒲島知事退任、「人生で最高の時間だった」4期16年を振り返る

渡辺淳基
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 熊本県政史上最も長い4期16年を務めた蒲島郁夫知事(77)が15日、任期満了で退任した。地震や豪雨災害など多くの困難に直面した一方、台湾積体電路製造(TSMC)の進出など経済成長の足がかりもつくった。任期中に方針を転換した川辺川ダム計画に対する地元の同意や振興策の具体化など、残された課題は、元副知事の木村敬新知事(49)に託される。

 この日県庁で開かれた退任式で蒲島氏は、幹部職員約160人を前に「多くの逆境に見舞われた蒲島県政だった」と16年間を振り返った。その上で「県民との相互信頼のなかで県政を担うことができた私はなんと幸せな知事だったのだろう」と心境を明かし、職員への感謝を述べた。

 続けて臨んだ記者会見では、難しかった県政上の課題として川辺川ダム計画への対応を挙げた。就任直後に白紙撤回に踏み切りながら、4期目になって流水型ダムの計画を受け入れる方針に転じた。「方向転換の政治はとても難しい。民意の変化をいかに政策に転換していくか。理解し合うのはなかなか難しかった」

 蒲島氏は農協職員や米国での研究活動、東京大教授を経て2008年に初当選。潮谷義子氏から県政を引き継いだ。政治家として過ごした16年間について「人生で最高の時間だった。教授の時までは自分のために生きてきた。知事になって、県民に仕える自分を見ることが喜びになった」という。

 東大の「蒲島ゼミ」で指導し、副知事も務めた木村氏については「28年間師弟関係にあった。熊本のよい流れを強く大きくする人材だと確信している」と評価した。

 蒲島氏は今後について、今月1日に就任した東大先端科学技術研究センターのフェローとして活動しながら、「熊本の半導体産業の集積や発展を手伝いたい」と語った。渡辺淳基

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