【そもそも解説】フィリピン、なぜ中国と対立? 日米との関係も整理

有料記事そもそも解説

バンコク=大部俊哉
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 南シナ海領有権を争うフィリピンと中国の間で、緊張が高まっています。11日に日米と初の3カ国首脳会談に臨んだフィリピンのマルコス大統領の政権が中国に強硬な姿勢をとる背景には、何があるのでしょうか。

 Q 南シナ海でフィリピン船と中国船のにらみ合いが激しくなっているの?

 A 中国は海上交通の要衝である南シナ海のほぼ全域の管轄権(かんかつけん)を主張し、周辺の国や地域と領有権や海洋権益を争ってきた。中国が権利を主張する海域にはフィリピンの排他的経済水域(はいたてきけいざいすいいき)(EEZ)も含まれており、スプラトリー(南沙)諸島でフィリピンが実効支配するアユンギン礁(しょう)周辺で双方の船が衝突するなど、緊迫した状況が続いている。

 今年3月にはアユンギン礁の軍拠点に向かっていた補給船が中国海警局の船から放水を受け、乗組員4人がけがをした。フィリピン政府は南シナ海の補給任務で負傷者が出たのは初めてとしており、事態はエスカレートしている。

 Q 対立の経緯は?

 A フィリピンは太平洋戦争中の日本占領期をはさみ、1946年までの48年間、米国の植民地だった。独立後も同盟国として米軍が駐留したが、冷戦終結や反米機運の高まりを背景に国会が延長を否決し、92年までに米軍は撤退した。中国はこの年に南沙諸島などの権益を主張する「領海法」を制定。3年後の95年にフィリピンのEEZ内にあるミスチーフ礁に建造物を建てて占拠し、対立が激化した。

 対抗するフィリピンは99年にアユンギン礁に軍艦「シエラマドレ」を故意に座礁させて軍の拠点とし、実効支配を固めた。その後、中国は埋め立てや軍事拠点の建設を本格化させていった。

 Q フィリピンはどう対応してきたのか。

 A 国際法上の正当性を世界…

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