第7回ジェノサイド黙認し、ジャングルの世界待つのか 人権派弁護士の警鐘

有料記事イスラエル軍の実像 ガザで起きていること

聞き手・高久潤=エルサレム
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 イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザで、長年イスラエルの占領政策を批判してきた、国際的に著名な人権活動家がいます。パレスチナ人の弁護士ラジ・スラーニさん。ガザで3万3千人以上が犠牲になった今回の戦闘は「ジェノサイド(集団殺害)」だと明言しています。どういうことなのでしょうか。

 ――この半年間、ガザでは何が起きたと考えていますか。

 パレスチナ人に対するジェノサイドです。女性や子どもたちがこれほどまでに殺害され、多くの住民が住んでいた場所を追われました。この瞬間もガザでは空爆が続いています。

 強調しておきたいのは、このジェノサイドは昨年10月7日に始まったわけではないということです。物資や人の移動の自由をイスラエルが完全に制御でき、イスラエルが必要と思えばいつでも空爆ができる。時間をかけて作られた仕組みがあって、初めて可能になっているジェノサイドです。

ハマスが先に攻撃したから何なのか

 ――10月7日に攻撃を始めたのはイスラム組織ハマスでした。イスラエルはハマスの壊滅が目的で、一般市民は標的ではないと言っています。

 ハマスが攻撃を始めたから何…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年4月13日10時44分 投稿
    【視点】

    「国際社会はガザでの『ジェノサイド』を止められていないだけでない。そもそも止めようともしていない」。スラーニ氏の言葉、そして怒りは、あまりに重い。昨年末、南アフリカがイスラエルによる軍事行動や物資搬入の制限は「ジェノサイド」にあたると国際司

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    高久潤
    (朝日新聞エルサレム支局長=文化、消費)
    2024年4月13日20時42分 投稿
    【視点】

     私がスラーニさんにガザで初めて会ったのは2022年です。彼がトップを務めるパレスチナ人権センターのオフィスでした。当時、スラーニさんは、ロシアのウクライナの侵攻について批判をしながら、国際社会のガザの人権状況への関心の低さを二重基準だと強

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