欧州第一審裁判所は10日、欧州連合(EU)がロシアのオリガルヒ(新興財閥)2人に対してとっている制裁措置を取り消す判決を言い渡した。制裁はロシアによるウクライナへの全面侵攻を受けたものだったが、原告が「根拠がない」として提訴していた。
原告はロシア最大の複合企業「アルファ・グループ」の共同創設者のミハイル・フリードマン氏と、グループ傘下の「アルファバンク」元頭取のピョートル・アーベン氏。2022年2月の全面侵攻を受けて、EUは「ロシアの意思決定者に金銭などを提供し、ウクライナの領土保全や主権を脅かす手助けをした」として、両氏を制裁リストに加えた。
制裁リストに載ると、EU域内にある資産は凍結され、EU 加盟国への入国もできなくなる。
しかし両氏は「EU側が示した制裁の根拠は、信頼できるものではない」と主張。裁判所は「EUの根拠は、両氏がプーチン大統領やその側近とある程度近い関係であることは立証した」とした一方で、「クリミア併合やウクライナの不安定化を進める意思決定者に物質的、経済的な支援をしたことまで示すものではない」として原告の主張を支持した。
EUは現在、ウクライナ侵攻に関わったとして、2千以上の個人や団体を制裁リストに加えている。(ブリュッセル=牛尾梓)
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