しなやかな「生涯船長」貫いた信念は 元郵政公社総裁の生田正治さん

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編集委員・伊藤裕香子

 バイクに乗って通りすぎようとする郵便配達員を見つけると、すかさず「ポストマンに声をかけましょう」と言いながら、歩み寄る。

 「総裁になる生田ですが」

 「大船団を率いて船出の心境」で臨んだ、日本郵政公社総裁への就任。直前の2002年暮れに取材でお願いした自宅近くでの撮影は、あっという間に構図が決まった。

 「浜と港町がなじみの風景」の神戸で育ち、戦死した父と同じ道へ。国際派の海運マンとして商船三井で過ごした46年間、「世界を結ぶ重要な貨物輸送」との強い自負を原動力に、即断を重ねる。

 米国、オランダ、香港の海運会社には「歴史上にないグローバルな提携を」と持ちかけ、粘り強く細部を詰めた。合併も、当時の常識だった銀行や官庁への相談は一切せずに、当事者どうしで信頼関係を深めて協議をまとめた。

 「競争力は、保護の中からは出てこない」との一貫した思いは、当時の小泉純一郎首相に請われて転じた郵政の世界でも、揺るがなかった。

 細る郵便事業に代わる収益の…

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