エクアドルの孤立鮮明、大使館突入で中南米諸国から非難相次ぐ

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サンパウロ=軽部理人
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 南米エクアドルの当局が首都キトにあるメキシコ大使館に突入し、保護されていたエクアドルの元副大統領を拘束した事件が、中南米全域に波紋を広げている。一夜明けた6日、各国はエクアドルを強く非難する声明を出し、ニカラグアはメキシコに次いで断交を発表。エクアドルは孤立状態になっている。

 「エクアドル当局がメキシコ大使館でとった行動を、最も強い言葉で非難する」。南米の大国ブラジル外務省は6日午前、声明を発表し、在外公館の不可侵を定めたウィーン条約に触れて「エクアドル政府の行為にどのような正当性があるにせよ、強く否定されなければならない」と強調した。ルラ大統領も自身のX(旧ツイッター)に「友人のロペスオブラドール(メキシコ大統領)と連帯する」と投稿した。

 逮捕状が出ていたエクアドルのグラス元副大統領は昨年12月から亡命を求めてメキシコ大使館に避難していた。メキシコ政府が5日朝に亡命を許可したため、エクアドルとしては、グラス氏の出国前に身柄を確保する狙いで同日夜に大使館に突入したとみられている。

 エクアドル政府は声明で、グラス氏は汚職容疑があるため、亡命目的での保護は違法だと主張。「エクアドルは主権国家であり、いかなる犯罪者も自由にさせない」としていた。

エクアドルと同じ右派政権も批判

 だが、ウィーン条約に抵触す…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年4月7日19時51分 投稿
    【解説】

    これは右派、左派の問題ではなく、外交の基本であるウィーン条約を順守するかどうかの問題。イスラエルによる在ダマスカスのイラン大使館への爆撃もそうだが、最近は在外公館が一般の建物と同じように扱われる事案が増えているように思える。こうした国際的な

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