生誕130年の武井武雄の童画に誇り 山岸吉郎さん、70歳

佐藤仁彦
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 長野県岡谷市出身の童画家・武井武雄(1894~1983)の生誕130年を迎え、市のイルフ童画館を拠点に、全国巡回展やシンポジウムの準備に余念がない。

 武井は戦前から児童雑誌に絵を描き、手塚治虫さんやさくらももこさんにも影響を与えた。「モダンな感性は時代を先取りし、そのデザイン的な魅力は、今なお若い人を引きつける」と語る。

 神奈川県出身。広告会社に約30年勤め、自動車などの販売促進戦略を担った。その手腕を買われて15年前、岡谷市が公募した「まちづくりマネージャー」に就任した。

 ベルギーに駐在して欧州の美術館を見て回った経験を持つ。童画だけでなく、版画や玩具、デザイン、装丁といった幅広い分野で独自性を発揮した武井の魅力に引き込まれた。

 外部への発信を強化するよう市に提言し、翌年からは童画館の運営も担った。

 生誕120周年の巡回展では、自身の人脈も生かし、デパートなど全国8カ所で開催。10万人が来場し、市幹部を驚かせた。

 「日本中に武井の仕事ぶりを知ってもらえた。しかし、それ以上にやりたかったのは、こんなに素晴らしい画家を輩出した街に住んでいるんだと、岡谷の人たちに誇りを持ってもらうことだった」

 その後も代表作「ラムラム王」などのキャラクターを用いた文具やTシャツなどの開発を仕掛け、幅広い層に武井を売り込んだ。

 130周年の巡回展は7月、東京都目黒区美術館で始まり、石川、愛知両県でも開かれる。

 「世界に目をむけて街のブランドを考えたとき、武井武雄は大きな魅力。これからも新しいことに挑戦していきたい」佐藤仁彦

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