「超大国競争の中、国際課題で協力」 フン・セン氏が上院議長に就任

バンコク=大部俊哉
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 カンボジアのフン・セン前首相が3日、上院議会で議長に選出された。昨年8月に38年にわたって務めた首相職を長男フン・マネット氏に譲り、その後、三男が副首相に就任。野党の党員を相次いで逮捕するなど政権批判者への弾圧が続く中、国家元首代行の権限も持つ上院議長にフン・セン氏が就くことで、一族支配がより一層進むことになった。

 フン・セン氏は選出を受けたスピーチで、「上院は国際関係を発展させる上で、重要な役割を担う。世界は超大国の戦略的競争の激化、戦争などで複雑化している。他国との関係を強化し、国際課題に協力して取り組む」と語った。

 フン・セン氏が党首として率いる与党・人民党は、昨年の下院総選挙で「書類の不備」を理由に有力野党キャンドルライト党(CP)を排除し、125議席中120議席を獲得した。今年2月の上院選でもCPの参加を認めず、選挙の対象となった58議席中55議席を獲得し、圧勝した。

 その結果を受けて3日に開かれた上院の会合で、フン・セン氏は全62議員の全会一致で選出された。

 これに先立つ2日、3議席を持つ野党「クメール意志党」のコン・モニカ事務局長は現地紙クメール・タイムズの取材に、「社会で困難や不公平に直面している国民がいることを懸念している。上院と政府にこれらの問題を解決するよう求める」とコメントした。(バンコク=大部俊哉

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