ミュシャ展 初公開デッサン画 栃木市立美術館
栃木県の栃木市立美術館(栃木市入舟町)は3日から、19世紀に欧州で流行したアールヌーボー(新しい芸術)の旗手の一人、アルフォンス・ミュシャの企画展「アルフォンス・ミュシャ 魂と装飾の芸術」を開催する。デッサン画「スカートをたぐる少女」が初公開される。
ミュシャは1860年に現在のチェコで生まれ、星、宝石、花などを女性の姿を用いて表現する作品を得意とした。ジャポニズム(日本趣味)の影響を受けたアールヌーボーは、植物の模様など曲線的で優美な装飾性が特徴だ。今回は尾形寿行氏のミュシャのコレクションから、ポスターや装飾パネルなど約200点を展示する。
杉村浩哉館長は「栃木市にゆかりの深い喜多川歌麿が残したのが浮世絵。アールヌーボーは浮世絵の影響を受けて生まれた」と話す。美術館隣の栃木市立文学館(旧栃木町役場)はこの運動から派生した「角張ったアールヌーボー」と呼ばれるセセッション様式の影響を受けた幾何学的なフォルムをしている。
杉村館長は「市民に親しまれてきた建物。この町にはアールヌーボーを受け入れる素地がある」と話す。
ミュシャの企画展は全国各地で開催され、人気を集めている。2019年の富山県高岡市の「夢のアール・ヌーヴォー」展は約2万3千人、23年の東京都八王子市の「アルフォンス・ミュシャ展」は約2万人を集めた。
栃木市立美術館は22年11月の開館以来、数々の企画展を開いてきた。杉村館長は「今までは地元の方々に美術館を知ってもらうことを主眼にしてきた。今回の企画展は他県の方にも美術館の存在を知ってもらう機会にしたい」と話す。
会期は6月9日まで(前期4月3日~5月19日、後期5月21日~6月9日。原則月曜休館)。
今回の展示品を所蔵する尾形氏のギャラリートークが4度開催されるほか、リトグラフやトートバッグのデザインなどのワークショップもある。栃木市内の飲食店と連携した「ミュシャ×フードコラボ」も企画され、ミュシャゆかりのチェコ料理などが提供される予定だ。
問い合わせは栃木市立美術館(0282・25・5300)。(根岸敦生)