地域に貢献したい 岩手の新社会人、夢に最初の一歩

松尾葉奈 佐藤善一 東野真和
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 新年度がスタートした1日、岩手県内各地で企業の入社式や自治体職員への辞令交付式が開かれた。若者たちは抱負を語り、社会人として最初の一歩を踏み出した。

 北東北3県でバス事業を展開する国際東北(本社・盛岡市)グループ傘下の3社の入社式が盛岡市のいわて県民情報交流センター「アイーナ」であり、計19人が参加した。

 新入社員は、秋北バス(秋田県大館市)の子会社、秋北航空サービス(同)の10人、岩手県交通(盛岡市)の5人、十和田観光電鉄(青森県十和田市)の4人。

 式でグループ代表を務める岩手県交通の本田一彦会長があいさつし、コロナ禍での利用者減少や運転手不足といった課題を挙げながら、「苦しい時にもしっかりと前を向く人間的な強さを持ってほしい」と激励し、新入社員たちは真剣な表情で耳を傾けていた。

 岩手県交通の事務員に就く北田かのんさん(22)は岩手県矢巾町出身で、県交通のバスで高校や大学へ通学していた。「地元に貢献したい。地域の人を乗せるバスなので、円滑な運行を支えるため一つひとつの仕事を丁寧にしたい」と意気込んだ。

 秋北航空サービスに入社し、青森空港のグランドスタッフとして働くパク・ジュヒョンさん(23)は韓国出身。弘前大で学ぶうちに、「地域で役に立ちたい」と日本での就職を決めた。3カ国語を話せる語学力を武器に、「観光客とのコミュニケーションなど、自分の能力を生かして働きたい」と笑顔で話した。

 十和田観光電鉄の磯崎レオさん(24)は地元の十和田市出身で、夢だった整備士になる。「一つの部品でも不良があれば事故につながるので気を引き締めていく。自分が育ってきた町のバスを整備して、地域社会に貢献したい」と決意を新たにした。(松尾葉奈)

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 開業40周年を迎えた三陸鉄道(本社・岩手県宮古市)でも入社式があり、2人が仲間入りした。

 石川義晃社長は「三陸鉄道は沿岸地域の生活の足であり、県内外の皆さんに豊かな時間を提供する観光資源でもある。沿岸地域の発展の一端を担っている誇りを持っていこう」と激励した。

 新入社員の2人はともに宮古駅の駅務係に配属された。宮古市出身の佐々木那奈さん(18)は一関市の高校に進んだが、就職先は地元の三鉄を選んだ。「東日本大震災自然災害の影響をすごく受けてきたが、その中でも立ち直って頑張っていく姿にすごく感動した。小さいころから三鉄に手を振ってきた。丁寧で元気な接客を心がけていきたい」。山田町出身の坂本優女(ゆめ)さん(18)は「沿岸を走る三鉄で地域に貢献したいと志望した。三鉄から見える景色が魅力。笑顔で接客したい」と話した。(佐藤善一)

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 大槌町役場では、4人の新人職員を迎えた。管理栄養士や理学療法士など福祉分野の採用が多かった中で、今春、地元の大槌高校を卒業した芳賀涼介さん(18)は教育委員会の施設管理担当に配属された。

 芳賀さんは13年前の東日本大震災時、祖母に連れられて津波から避難した記憶がある。被災した海浜部には町営サッカー場や野球場などの施設が整備されたが、少子化で利用する子どもたちが減っている。高校でサッカー部に所属していた芳賀さんは「スポーツの振興をしたくて入庁した。できればサッカーのコーチとしても指導していきたい」と意気込みを話した。

 町ではこの1、2年、基本的な事務や消防訓練を長期に怠るなど、不祥事が相次いで発覚した。重層的にチェックするため、今年度から、震災前に廃止していた課長補佐・係長制度を復活させ、この日、計32人を任命した。平野公三町長は「責任を感じる。先頭に立って信頼回復に一丸となることを誓う」と職員に訓示した。東野真和

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