介護と仕事に疲れた管理職のあなたへ 離職防ぐ「ひと休み」の方法

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聞き手・浦島千佳
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 副市長を務めていた女性が、母親の介護を理由に任期を2年残して退職することになった。愛知県西尾市での出来事だ。働きながら介護をする人は全国で約364万人。その中には、組織で指導的な立場に就いている人もいるだろう。管理職の介護離職をどう防いだらいいのか。「介護離職の構造」などの著書がある労働政策研究・研修機構の池田心豪・副統括研究員に聞いた。

心身が疲弊する「24時間が仕事と介護でいっぱい」

 ――管理職の介護離職の問題をどう捉えたらいいでしょう。

 管理職の介護離職はもともと、男性の問題として関心を集めていました。介護者の多くは女性ですが、未婚率の上昇やきょうだいの減少で、男性介護者が増えてきたためです。介護に直面するような中高年の男性は、管理職になっていることも少なくないですからね。

 そこに「女性活躍」の流れが加わり、少しずつではありますが要職への女性登用が進んだ結果、介護離職の問題が再び、女性の問題としても重要になってきているといえるでしょう。

 ――介護離職を防ごうと、2016年には育児・介護休業法が改正されました。それでも年間約10万人が離職しています。

 育児・介護休業法は、生活時間を仕事と介護にどう配分するかという問題を主眼に置いていると言えます。

 勤務時間中に介護の用事が入ってしまって板挟みになり、十分に仕事をまっとうできないから、もしくは十分に介護ができないから辞めてしまう、というのを介護休業や介護休暇などの制度で防ごうとするものです。

 ただ、介護離職の当事者に話を聞くと、時間的に仕事と介護の両立ができないから辞めるというよりは、仕事と介護に心身ともに疲れてしまったといった健康問題が大きな理由になっていることが珍しくありません。

 そして、ここに対する手立てはまだまだ不十分だと言えます。

 例えば管理職になるような、責任感が強くて真面目な人は、組織からも家族からも頼りにされ、介護をしなくていい時間には仕事をしてしまい、仕事から解放された時間には介護をしてしまう。24時間が仕事と介護でいっぱいいっぱいになってしまうんですね。休息できずに疲労がたまり、追い詰められてしまうケースが実は多いのです。

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 ――どうしたらいいのでしょう。

 介護保険制度や企業・役所の両立支援制度を、仕事と介護の生活にゆとりを持たせるために使うという考え方が重要です。

 例えば、要介護状態の親がデ…

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