第10回暴力の連鎖を止めるには パレスチナ人と同じ痛みを感じわかったこと

有料記事イスラエル・パレスチナ 市民の声 ガザ戦闘半年

テルアビブ=其山史晃
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ロビ・ダメリンさん(80) 息子をパレスチナ人に殺された母親

 息子のデイビッドがパレスチナ自治区ヨルダン川西岸の検問所でパレスチナ人の狙撃手に殺されたのは、2002年のことです。27歳でした。第2次インティファーダ(対イスラエル民衆蜂起)の最中で、とても危険な時代でした。

 当時、予備役将校だった息子がある日、「西岸に行くことになったんだけど、どうしたらいいかわからない」と打ち明けました。彼は占領地での軍務に否定的な考えを持っていたのです。大学で哲学を学んでいて、若い人たちに教えてもいました。悩んでいましたが、「若い兵士や兵役前の学生たちを失望させることはできない。自分が行けば、パレスチナ人にも敬意をもって接することができる」と言っていました。

 22年前、イスラエル軍の将校だった息子をパレスチナ人に殺されたダメリンさんは、紛争のなかで肉親を失ったイスラエル人とパレスチナ人の家族らでつくる団体で活動してきました。いま必要なのは、互いを理解することだといいます。

 私にとって、いい友人のような息子でした。彼には音楽を教え、一緒によく料理もしました。軍が彼の死を伝えに来たとき、私はとっさに「私の子供の名のもとに、誰も殺さないで」と言ったそうです。後になって人から聞きました。子供を失った時の感情を説明するのは難しいものです。

首から下げた息子の遺影、パレスチナ人の母親がつぶやいたのは

 その後、イスラエルとパレス…

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