「ひたむきにやれよ」
2023年の年の瀬。プロ野球・読売ジャイアンツ(巨人)からドラフト3位指名された佐々木俊輔(24)は、食事の席で、言葉を贈られた。
日立製作所野球部のチームメートで、その年限りで現役引退を決めた大塚直人さん(34)からだった。
佐々木は言う。
「おおさん(大塚さん)からは、ちゃんとしたヒットを打たないと『それでヒットだと思ってんの?』とよく言われました。コーチのようであり、指導者のようでした」
佐々木にとっては打撃の師匠であり、「勝手にライバルだと思っていました」。
佐々木は左打席で、ぐっと下半身を落とし、やや“がに股”とも言える独特の構えをする。
それこそが、大塚さんと2人でつくり上げたフォームだ。
2人の出会いは21年末。佐々木は東洋大から日立製作所への加入が決まっていた。大塚さんは、そのチームの主砲として何本もアーチをかけてきたスラッガーだ。
すぐに、練習で大塚さんに直言された。
「おまえ、絶対にプロに行け」
大塚さんは東海大では巨人の…
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