公示地価、上げ幅は全用途で拡大 3連連続、都市部で顕著

黒田壮吉 西田有里
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 国土交通省は26日、全国の1月1日時点の公示地価を公表した。住宅地、商業地、工業地の全用途を合わせた平均変動率は前年より2・1%上がり、3年連続で上昇。上げ幅は前年の1・7%より拡大した。新型コロナウイルスの5類への移行などで、都市部周辺の上昇が目立った。

 公示地価は1平方メートルあたりの価格で土地取引の指標とされる。県内では住宅地1032地点、商業地223地点、工業地44地点など計1301地点を調査した。

 用途別では、住宅地は前年から平均2・0%上がり、3年連続で上昇した。川口市など県南部の住宅需要が堅調で、上げ幅は前年より0・4ポイント拡大した。最高価格は8年連続でJR浦和駅近くのさいたま市浦和区高砂2丁目付近の118万円。

 商業地は前年から2・4%上がり、3年連続の上昇。マンション用地と競合する地域で上昇がみられ、上げ幅は0・8ポイント拡大した。最高価格はJR大宮駅近くのさいたま市大宮区桜木町1丁目付近の418万円だった。

 工業地は前年より3・2%上がり、11年連続で上昇した。最高価格は川口市青木4丁目付近の23万3千円。根強いネット通販需要に支えられ、高速道路のインターチェンジ周辺の物流施設がある地点で上昇した。

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 住宅地の需要が県北部などでも高まっている。特に鉄道沿線の人気が顕著だ。

 市町村別の平均変動率が上昇したのは37市町で、前年より4市町多かった。なかでもJR高崎線沿線の深谷市は、前年は横ばいだったが、今回は0・3%上昇した。隣接する熊谷市も0・4%の上昇だった。

 地価を調査した不動産鑑定士の三田和巳氏によると、県内での住宅地の需要は、もともとJR京浜東北線沿いの東京に近い地域で高かったが、近年はこれまで土地価格が安かった地域にも広がっている。

 三田氏は「県北部のほか、東武伊勢崎線と東武東上線など鉄道沿線などが上昇しており、特に駅近くの人気が高い」と話す。

 一方、下落したのは19市町。下落率が最も大きいときがわ町はマイナス1・5%だった。吉見町は前年は0・1%上昇していたが、今回は下落に転じマイナス0・2%だった。三田氏は「沿線から遠い地域では下落傾向にあり、二極化が進んでいる」と指摘する。(黒田壮吉、西田有里)

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