21世紀枠むしろ増やしては 高校野球に競技力以外の豊かな価値観を

編集委員・中小路徹
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 25日の第1試合で1回戦が終了し、21世紀枠の田辺(和歌山)と別海(北海道)はいずれも敗れた。

 困難を克服したり、地域の模範となる活動を行ったりするなど、特色ある高校が選ばれる同枠。2001年から導入され、08年以降は3枠が基本だったが、今大会から2校に減った。

 秋の明治神宮大会で優勝した地区に与えられる神宮大会枠を合わせた特別枠4について「多いという意見が出た」というのが、運営側の説明だ。

 これは残念だ。

 あと一歩、甲子園に届かない公立校を中心に、これまで66校(新型コロナで中止になった20年の3校を含む)が選ばれ、初戦突破は14校にとどまる。実力校に多くのチャンスを、という意見は一理ある。

 ただ、甲子園は、多くの高校生にとって野球を通じた自己表現ができる舞台であってほしい。

 選手主導のチームづくり、グラウンド外での社会貢献や競技の普及に取り組むなど、「野球部」の形はたくさんある。

 今、高校野球は甲子園出場が現実的な強豪校と、それ以外の二極化が進む。そんな中、地方大会の1回戦から完全トーナメント制で行われる夏の「選手権」とは意味合いが異なる「選抜大会」の21世紀枠は、競技力以外から部活動の意義を見つめる貴重な評価軸だ。

 21世紀枠をむしろ増やすことで、高校野球から豊かな価値観を発信できると思う。(編集委員・中小路徹

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2024年3月26日12時26分 投稿
    【視点】

    この記事の趣旨に賛同します。 日本高校野球連盟の会長を務めた奥島孝康氏は、かつて言っていました。 「21世紀枠こそ、選抜大会の本質」 夏の選手権大会は地方大会を勝ち上がって、最後まで負けなかった学校がチャンピオンとなります。選抜大会は違いま

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