論文数アップの横浜市大 新学長に聞く、若手が集まる環境のつくり方

有料記事

聞き手・藤波優
[PR]

 苦しい研究環境の中でも、横浜市立大は論文数を着々と増やしているという。その秘訣(ひけつ)は。4月から学長に就任する石川義弘・学長補佐に話を聞いた。

 ――論文数が増えているようですが、どのような取り組みが奏功したのでしょうか。

 米学術情報会社クラリベイト・アナリティクスのデータで、横浜市大の研究者が著者になっている論文は、2005年度と比べ22年度では3倍近く増えています。

 学長の裁量経費をつくり、有望な若手に研究費を配分したり、英語の論文を出すときに補助を出したりするなど、複数の取り組みの成果が出ています。でも一番大きいのはこれまでの学長がリーダーシップをとって研究重視を打ち出し、本格的に研究に力をいれる雰囲気を醸成したことです。

 これによって、大学の教員はもちろん、病院に所属する教員も、研究をして論文を書こうという意識を持つようになりました。大学病院は、研究をしなければ普通の病院と変わりません。研究もできることが魅力になり、若い人が集まってくるようになりました。

 ――コロナ禍では、迅速に診断できる検査キットを開発するなど多くの研究成果を出していたように思います。

 あのころ、国が多くの研究費や補助金を出していました。大型の研究費があると、それまでバラバラにやっていた研究者が、共同研究のグループを作ろうとつながりますので、いい研究ができたんだと思います。企業との共同研究も進みました。

 ただ、背景にはやはり研究重…

この記事は有料記事です。残り2625文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません