震災後に再建したが……創立149年の船越小が閉校

東野真和
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 岩手県山田町の半島部にある船越小学校(石川修司校長)が新年度から山田小学校に統合されることになり、23日、閉校式があった。2011年の東日本大震災で被災後、高台に再建したが、人口減で149年の校史に幕を下ろした。

 式典では卒業生ら約300人が別れを惜しんだ。児童を代表して6年生の荒川蒼太さんが「今年102歳になるひいおばあちゃんの生まれる前から歴史を刻んできた。教室から美しい船越湾を見ると心が落ち着いた」と校史や学校での思い出を語った。校旗が佐藤信逸町長に返還された後、児童は校歌を斉唱した。

 さらに、震災の年の6年生が歌詞を考え、後輩が歌い継いできた「明日(あした)へ」を合唱した。「明日を信じて未来を切り開くんだ」と、悲しみを乗り越えることを誓う内容。卒業生の山田高2年・三浦剛さん(17)は「当時、亡くなった人を思って歌った」と途絶えるのをもったいながった。

 船越小は1875(明治8)年創立。700人以上の児童がいた頃もあった。震災の津波で校舎1階が全壊し、3年後、高台に再建。だが急速な人口減で、今年度は児童が66人になり、町と保護者の協議で閉校が決まった。

 震災当時の児童176人は、校務員だった田代修三さん(68)が高台に避難誘導して全員無事だった。この日、田代さんら学校に貢献した住民や団体に感謝状が贈られた。当時4年生で高台に避難した浦川玲菜さん(23)は「あの時は田代さんに命を助けられた」と当時を振り返り、「自分に子供ができたら船越小に入れたかった」と残念がった。

 県内の小学校数は2012年度に比べ新年度は110校減った。そのうち4割以上の45校は沿岸12市町村の学校だ。山田町では9校から2校に統廃合された。東野真和

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