ブロッコリーの「指定野菜」入りで、県内の大産地に追い風

黒田壮吉
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 ブロッコリーが2026年度から、農林水産省が国民生活に欠かせないと認める「指定野菜」に追加されることになった。埼玉県は出荷量で、北海道や愛知県に続き全国3位。市場価格が大幅に下がった場合に受け取れる補助金が手厚くなるため、関係者からは喜びの声が上がっている。また、自治体は県産品のPRに力を入れる考えだ。

 埼玉県内の22年のブロッコリー出荷量は1万3300トン。深谷市本庄市熊谷市などが主産地だ。

 なかでも深谷市は、同省の統計によると、20年の作付面積が615ヘクタール、21年の産出額は推計22億4千万円。いずれも近年は全国トップを誇る。

 JAふかや西部野菜協議会ブロッコリー部会長の角田(つのだ)正和さん(45)は「メジャーな野菜として評価されたことがうれしい」。最近は猛暑などで安定的な生産が難しくなっており、「補助金が出やすくなり安心して栽培できる」という。

 県などによると、県内の主要産地ではかつて桑畑が広がっていたが、1970年代以降養蚕の衰退とともに野菜栽培に切り替え、ブロッコリーが注目された。

 同部会には現在、約60世帯が所属。角田さんは「市場担当者から『ブロッコリーは売れ残らないからどんどん作ってくれ』と言われ需要の高まりを感じる。埼玉は都心に一番近い大産地。今後も品質の高いものを作りたい」と話す。

 県内では、新たに栽培に乗り出す動きもある。

 遊休農地の有効活用に取り組む「ほくさいグリーンアグリ」(羽生市)は今年度、初めてブロッコリーを栽培した。永沼竹彦統括マネージャーは「同じ面積で栽培した場合、米より収入が多くなる可能性がある。試行錯誤しながら耕作面積を広げたい」と語る。

 指定野菜への追加が発表されたのは今年1月。新たな野菜の追加はジャガイモ以来52年ぶりだ。大野元裕知事は会見で「埼玉は隠れた農業県。これを契機と捉え、農産物販売のPRに力を入れたい」。深谷市の小島進市長も「深谷といえば渋沢栄一と深谷ねぎだったが、ブロッコリーもすごいぞ、と盛り上げていきたい」と会見で意気込んだ。毎年春に「道の駅おかべ」で開かれる「ブロッコリーまつり」の規模拡大を検討するという。(黒田壮吉)

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