大会直前までメンバー外の背番号11が好投 山梨学院、連覇へ好発進

三宅範和
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 第96回選抜高校野球大会で、前回優勝の山梨学院は20日、第2試合で京都外大西と対戦。先取点を許したものの中盤以降、着実に加点して7―1で勝利し、2連覇に向けて好発進した。次戦は大会7日目第2試合(24日午前11時半開始予定)で創志学園(岡山)と2回戦を戦う。

 山梨学院は1点を追う四回、横山がスクイズを決めて追い付くと、六回には安打と四球で出た走者をバントで進め、横山の遊ゴロの間に走者が生還し、勝ち越しに成功。七回には相手の失策と横山の2点適時三塁打などで一挙4点を加え、勝利を決定づけた。

 投手陣は先発した津島が二回に先取点を許したものの六回まで1失点と踏ん張り、七回から救援した桜田が3イニングを零封して逃げ切った。

津島投手「甲子園のマウンド、楽しめた」

 前大会の覇者・山梨学院(山梨)に、待望のエースに次ぐ2番手投手が現れた。先発した背番号11の津島悠翔投手(2年)が6イニングを1失点で抑え、打線の反撃につなげた。

 昨年から公式戦でも登板していた津島投手だが、春先にかけて伸び悩み、当初は選抜のベンチ入りメンバーに入れなかった。しかし、大会直前の練習試合で好投。11日に発表された登録変更で背番号11を射止めてベンチ入りし、初戦の先発に起用された。

 試合前、吉田洸二監督は、「大会前にインフルエンザにかかったエース桜田(隆誠投手)の負担を減らすため、一番安定感のある津島を起用することにした」と甲子園初戦の先発に選んだ理由を説明した。

 津島投手は「できるだけ長いイニングを投げ、桜田さんの力を温存したい」とマウンドに上がった。

 一回、2番打者に3ボールとなったが四球を出さずに三者凡退に打ち取る立ち上がり。二回にはいきなり連打を浴びて無死二、三塁のピンチを迎えたが、内野ゴロの間の1点のみに抑えてペースをつかみ、三~六回を無失点の好投につなげた。

 津島投手の自己採点は「連打もあったので70点」と辛いが、「初めての甲子園のマウンドを楽しめた。これからも勝利に貢献する投球がしたい」と話した。バッテリーを組み、4打点の活躍で投手陣を援護した横山悠捕手(2年)も「変化球でストライクを先行させることができたので、打たせて取る投球ができた」と津島投手の投球を評価した。

 前回大会の優勝は、エースの林謙吾投手が6試合をほぼ1人で投げ抜いた。しかし、2番手投手が育たなかったことが昨夏の山梨大会敗退の一因になった。

 現在のエース桜田投手も、林投手と同じ打たせて取るタイプの技巧派。しかし、打者はバットに当てられるだけに、春以降、打者の技術やパワーが上がると、「それまでのファウルが安打に、外野フライが本塁打になる」(吉田監督)。

 エースが孤立しないためには、頼りになる2番手投手の育成が課題になる。右横手投げの桜田投手に続き、左上手投げの津島投手の台頭は、山梨学院の戦いにとって心強い材料だ。(三宅範和)

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