少し長めに働いて週休3日実現へ 内定者辞退も相次いだ市役所の試み

小幡淳一
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 働き方を見直し、仕事と私生活を両立しやすい環境に整えようと、岩手県久慈市は5月から、週休3日制にする勤務を試行する。1日の勤務時間を増やして、その分、平日に休みを設ける形。その後、体験した職員らから聞き取りして課題などを洗い出し、ワーク・ライフ・バランスを実現する。

 市によると、こうした試みは県内の自治体で初めて。

 市の業務はこれまで、窓口や現場で市民と対面して話を聞くのが基本だった。

 しかし、近年は電子マネーで公共料金を支払うことができ、コンビニエンスストアで住民票の写しなどの証明書も自動交付される。窓口業務や事務作業の負担は軽減され、行政サービスのあり方が変わってきている。

 一方で、夜間に行われる住民説明会やイベントなどもあり、超過勤務を防ぐため、メリハリをつけた働き方が理想だった。

 柔軟な働き方ができれば、育児や介護、スキルアップなど個々の事情に合わせた対応をとれるようになる。

 また、背景には人材確保の難しさもある。若い世代の仕事に対する意識が変化しているとみられ、市の今年度の職員採用試験の応募者が前年度から激減したほか、内定者の辞退も相次いでいるという。

 このため、職員が仕事にやりがいを持ち、生き生きと取り組めるように、その第一歩として週休3日制の導入を検討することにしたという。

 管理職を含む正職員346人の勤務時間は午前8時半~午後5時15分の7時間45分。試行では、週3日は2時間、1日は1時間45分それぞれ長く働き、平日1日分の休日を確保する。同様に、勤務時間が短い任用職員は1日当たり1時間45分の追加勤務をし、週休日を設ける。

 5月13日から8月末まで業務に支障がない各部の1~2課で実施する。選択は個人の判断に任せ、選択しても所得や手当などへの影響はない。

 試行の結果を踏まえ、週休3日制の本格導入のほか、フレックス制やテレワークなど柔軟な働き方についても検討する。

 遠藤譲一市長は「職員の応募が少なくなっている。住民サービスのレベルを下げることなく、職員自身が勤務のあり方を選択できるようにしていきたい」と話している。(小幡淳一)

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