「色」から見る歴史と文化 歴博で色を読み解く「色尽くし」の企画展
国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で今月から、「色」をテーマにした企画展示「歴博色尽くし」が始まっている。特徴的な「いろ・つや・かたち」を持つ約100点の多彩な館蔵資料を紹介し、色と人間の関わりについて考える。
企画展は全6章で構成し、建造物彩色、染織工芸、浮世絵版画、漆工芸、考古遺物、隕鉄(いんてつ、鉄隕石〈いんせき〉)剣に分けた。
第1章「2棟の建築彩色模型」は、京都の醍醐寺五重塔初層の復元模型を展示した。戦後の国宝建造物の修復時に制作し、今回が初めての展示になる。
第2章「身にまとう色」では、染織工芸の色と模様に注目した。第3章「ふたつの『赤絵』」は、疱瘡(ほうそう、天然痘)にかかった子どもの見舞いのための「疱瘡絵」と、近代化した街を描いた明治期の錦絵「開化絵」を紹介。第4章「漆工芸にみる色彩」は、蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)、色漆による工芸品を展示している。
第5章「古墳の彩り」では、古墳時代の装身具や土器、金属工芸を通して古代の「色」の意味を探る。鮮やかな装飾壁画の復元模写は必見という。第6章「鉄の隕石で作られた刀剣」は、隕鉄だけで作られた刀剣類を展示した。
同館の鈴木卓治教授は「歴博の普段の企画展とは趣が少し異なる。縁あって歴博にやって来た、ちょっと不思議な資料を見に来て楽しんでほしい」と話す。
同館の西谷大館長は11日の内覧会のあいさつで「歴博から一歩出ると佐倉城址(じょうし)公園。花見のついででも構わないので歴博にぜひきていただきたい」と述べた。
5月6日まで。月曜休館。一般1千円、大学生500円。高校生以下は無料。詳細は公式サイト、またはハローダイヤル(050・5541・8600)へ。(中野渉)