第5回ドイツの稼ぐ力支える「隠れたチャンピオン」 ロシアの侵攻で陰りも

有料記事GDP逆転 ドイツを歩く

ベルリン=寺西和男
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 ドイツ南部ミュンヘンにある高級車メーカー、BMW本社の工場は、いま「変革」の真っ最中だ。

 「ミュンヘンで未来志向の工場を維持しつづける」

 1月10日、工場で開いた記者会見で、生産部門トップのミラン・ネデリコビィッチ氏は力を込めた。

 会見では、約6億5千万ユーロ(約1050億円)を投資して、ガソリンエンジン車などもつくる工場を2027年末から電気自動車(EV)の専用に切り替えることが明らかにされた。

【連載】GDP逆転 ドイツを歩く

名目国内総生産(GDP)で日本を追い抜いたドイツ。製造業の拠点として成長してきましたが、足元では経済は低迷しています。ドイツ各地を歩き、その強みと課題を報告します。

 30年までに新車販売の半分をEVにする目標を掲げる同社では、ミュンヘン工場をEVのモデル工場と位置づける。生産管理に人工知能(AI)を導入するなどして効率を高め、EVの製造コストを従来と比べて25%下げることをめざすという。

 BMWは昨年225万台を売り、高級車メーカーでは世界販売首位。うち約3分の1をドイツの4工場でつくり、世界に輸出する。仏自動車調査会社イノベブによると、メルセデスベンツ、アウディを加えると、ドイツ3社が世界の高級車市場で5割超のシェアを占める。

ニッチ市場で存在感

 国内総生産(GDP)で日本を抜いたドイツ。高級車に代表される付加価値の高い製品を輸出して世界で「稼ぐ力」が成長の源泉だ。経済協力開発機構(OECD)によると、2000年から21年にかけた工業製品や食料品などのモノの輸出額は日本が1・6倍に対し、ドイツは3倍に膨らんだ。

 こうした海外で「稼ぐ力」は…

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