第1回「週休3日で生産性向上」GDPで日本抜いたドイツ、鍵は短時間労働

有料記事GDP逆転 ドイツを歩く

ベルリン=寺西和男
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 ドイツ西部のケルンから車で約1時間。ノルトラインウェストファーレン州にある金属加工品会社の従業員ローラ・ピチョビアックさん(24)は、毎週金曜日の午前中はジムに通う。夕方からある商工会議所でのスキルアップ授業のため、午後はその準備に使う。経営管理の資格取得をめざし、週2日夕方に通っている。

 彼女が働く従業員36人の「ダーブCNCテクニック社」は一昨年10月から金曜日を休みにし、週休3日制を導入した。

 「金曜日が休みになったので授業の準備に専念でき、休みもゆっくりとれるし、仕事も集中してできる」と喜ぶ。

 勤務は月~木曜の1日9時間(30分休憩)で週36時間。週5日40時間だった以前より労働時間は1割減だが、会社は賃金を据え置いた。実質的な賃上げだ。社員には残業もさせない。

 日本生産性本部によると、2022年の就業1時間あたりに生み出す国の付加価値を示す「労働生産性」は、ドイツが日本に比べ約7割も高い。人口は約8450万人と日本の3分の2だが、日本を追い抜いたのはこうした生産性の高さにも理由がある。

名目国内総生産(GDP)で日本を追い抜いたドイツ。製造業の拠点として成長してきましたが、足元では経済は低迷しています。ドイツ各地を歩き、その強みと課題を5回に分けて報告します。

長時間労働、ドイツとの差は歴然

 欧州経営技術大学院のビアン…

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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2024年3月21日19時0分 投稿
    【視点】

    年明けに、人口戦略会議が「2100年に日本の人口を8,000万人で安定化させる」ことを目標とする提言を公表した。その8,000万人は、現在のドイツの人口に近い。 同提言が目指すとしている「小さい人口規模でも多様性に富んだ成長力のある社会」

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