母の故郷へ移住、東京の島で初の女性首長に 「持続可能な村目指す」

中山由美
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 東京都三宅村の山高亜紀子氏(50)が2月、新村長に就任し、都内の島嶼(とうしょ)9町村で初の女性首長となった。村職員を経て村長を志し、高齢化と人口減が進む島で村政を担う思いを聞いた。

 三宅島は母の故郷です。私は茨城県で生まれて、島には幼い頃から遊びに来ていました。都内の専門学校を卒業し、三宅村役場に就職しました。

 2000年の雄山噴火で全島避難となった当時、移住して6年の私でも「島へ帰りたい」との思いは強かったです。コミュニティーの大切さを実感し、島民集会を開いて、気持ちを一つに励まし合いました。

 能登半島地震は事情も違いますが、被災地の住民や役場職員の大変さもわかります。先が見えない不安をなんとか乗り越えて頂きたいです。

 帰島は全島避難から4年5カ月後でした。今の人口は約2250人、噴火前から約4割減っています。企画財政課時代は移住者を増やす事業に携わりました。16年に始めた「島ぐらし体験」にはこれまで70人が参加し、25人が移住しました。農業や漁業の研修生も受け入れ、若い担い手が少しずつ増えています。島内外の人的交流の機会をつくり、一緒に島を盛り上げてくれる移住・定住者をさらに増やしていきたいです。

 噴火後の生活再建から次の段階へ、島の暮らしをより豊かに、安全安心を確かなものにする基盤整備を目指す6次総合計画(22~31年度)も始まりました。計画実現のために、復興を進めてきた櫻田昭正前村長の後を継ぎたいと、村長選に立候補しました。

 役場で管理職は男性ばかりの中、議会事務局長や企画財政課長も務めました。「女性」を意識したことはありません。職員は島のためにがんばる「同志」です。

 課題は山積でも財政は限られています。優先順位をつけ、老朽施設の整備を急ぎ、教育や産業の振興を進めます。移住者用の住居や職場も必要です。火山や野鳥、さらにクジラや巨樹など自然の魅力を生かして観光を盛り上げ、柑橘(かんきつ)など特産品の開発を後押しし、若い世代に負担をかけない「持続可能な村」を目指します。中山由美

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