名古屋に新たなミニシアター誕生 旧シネマテークのスタッフが再起

小原智恵 米田怜央
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 名古屋・今池に新たなミニシアター「ナゴヤキネマ・ノイ」が16日に誕生する。昨年閉館した「名古屋シネマテーク」の元スタッフが同じ場所で再起した。映画ファンに支えられながら、ドイツ語で「新」を意味する「ノイ」の名のごとく新たな一歩を踏み出す。

 14日の内覧会。新たな劇場の40席ある座席は、キャメル色のレザーに張り替えられ、壁は「劇場を出たときに印象を残したい」と暖かみのある紺色、赤色に塗り替えられた。上映機材や音響設備も整備された。

 名古屋シネマテークは昨年7月、惜しまれながら41年の歴史に幕を閉じた。経営難などが原因だった。だが、ファンや地元商店主らから再開を求める声が相次ぐ。長年のスタッフだった永吉直之さん、仁藤由美さん、2019年に亡くなった元支配人の故平野勇治さんのパートナー安住恭子さんが共同代表になり、再出発をめざして合同会社を設立した。

 昨年12月、改装に必要な資金を集めるため、1千万円を目標にクラウドファンディングを始めた。映画監督やこの地方の文化関係者だけでなく、俳優の柄本明さんや小泉今日子さんらも賛同。1月末には約2710万円が集まった。

 「たくさんの人に手伝ってもらった。今度は『みんなの映画館』ということで来て頂きたい」と永吉新支配人。新作のドキュメンタリーから往年の名画まで、ジャンルを絞らず届けたい作品を上映するといい、「やっていく映画がその映画館のカラーを作る」と語る。共同代表の仁藤さんは「若い人も映画の楽しさを味わえる映画館でありたい」と話す。

 16日からは19世紀末にデンマークで生まれた映画作家・カール・テオドア・ドライヤーの特集と、東海テレビが制作した「その鼓動に耳をあてよ」が上映される。名古屋掖済(えきさい)会病院(名古屋市)の救命救急センターを追ったドキュメンタリー。これまでも同社ドキュメンタリーを同じ場所で上映してきた。プロデューサーで元東海テレビの阿武野勝彦さんは「(同社の)作品を育ててくれたのはミニシアター。今回も足を運んでいただける意味のあるおもしろい作品なので見てほしい」と話す。

 1日5回上映する。一般1800円ほか。火曜休館。問い合わせはナゴヤキネマ・ノイ(052・734・7467)へ。小原智恵、米田怜央)

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