南シナ海のアユンギン礁をめぐり、領有権を争うフィリピンと中国の間で密約があったと、フィリピンメディアが中国高官の話として報じた。フィリピン側が同礁にもつ軍拠点の補強がしにくくなるよう、建設資材の持ち込みを制限する内容だ。ドゥテルテ前政権時代に合意したが、中国に厳しい姿勢を取るマルコス政権が発足してから「状況が変わった」としている。
アユンギン礁はフィリピンが実効支配している。1999年に故意に座礁させた艦船シエラマドレを軍の拠点としているが、建造から約80年が経過し、老朽化や損傷、衛生状態の悪化が進む。このまま時間が経てば、沈没の恐れもある。
主要英字紙マニラタイムズの11日の記事によると、中国高官が今月、匿名を条件に取材に応じた。
その内容によれば、2016~22年のドゥテルテ政権当時、シエラマドレを補強するための大規模な建設資材をアユンギン礁に運び入れない、という約束が両政府の間で交わされた。ドゥテルテ政権は中国に融和的な政策を取ったことで知られる。
しかし、現在のマルコス政権が22年6月に発足した後、「フィリピン政府は既存の合意を認めず、実行を拒否し、一方的な行動を取り始めた」と中国高官は主張。「遺憾なことに、中国側の度重なる制止と警告に反し、フィリピン側は(シエラマドレの)整備や補強のための資材を輸送すると主張した」と批判した。
フィリピン外務省が記事に反論
また、記事では中国側が昨年4月、「紛争海域の状況を正常化させる方法をまとめた11の構想」を提案したことも明らかになった。
提案は、領有権争いのある海…
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