ゲーム「刀剣乱舞」で注目 国重文の刀、ふるさと足利へ

根岸敦生
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 栃木県足利市は7日、国指定重要文化財の刀剣「山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)」を取得したと発表した。6日に所有者と売買契約がまとまり、公益財団法人足利市民文化財団の所有となった。戦国期末からの長い流転の末に、この名刀は「ふるさと・足利」に帰ってきた。

 この一振りは戦国時代に足利荘を領有していた足利長尾氏の6代目当主長尾顕長(1556~1621)が南北朝時代の刀工・備前長船長義(おさふねちょうぎ)作の「本作長義」(徳川美術館蔵)を手本に、日向(ひゅうが)(宮崎県)の刀工・堀川国広に足利学校で打たせたと伝わる。刀の長さは70・6センチ、反りは2・8センチ。2015年に公開されたゲーム「刀剣乱舞」で、山姥切国広をモデルにしたキャラクターが人気になり、刀も注目を集めるようになった。

 足利市は「山姥切国広縷縷(るる)プロジェクト」と名付けて、取得費用3億円のうち1億円をクラウドファンディングふるさと納税で募り、昨年末までに、5704人、81団体から総計1億7013万7千円を集めた。

 早川尚秀市長は「全国からの支援を頂き、多くのみなさんに愛されていることを再確認した。適切な維持管理に努め、前所有者の思いも引き継いでいく」と述べた。足利市民文化財団の笠原健一代表理事も「前所有者とのご縁はもちろん、山姥切国広を愛する方々の支援、協力に心から感謝申し上げる」と話した。

 前所有者は「ゆかりの地足利へ帰ることになりました。手から離れるのはちょっとさびしい気もしますが、信頼する足利の皆さまに託し、後世へ引き継ぐことができ、ホッとした気持ちです。山姥切国広も故郷で安住できることをきっと喜んでいるでしょう。今後も山姥切国広が幸せでありますよう、ますます皆さまに愛されますよう、切に願っています」とコメントした。

 市では、25年2~3月に足利市立美術館で「山姥切国広」の特別展を開催する予定だ。根岸敦生

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