放水銃で挟み撃ち、衝突で4人けが 南シナ海で中国がフィリピン船に

大部俊哉
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 フィリピン政府は5日、中国と領有権を争う南シナ海のアユンギン礁近くで、自国の船が中国海警局の船から衝突され、放水銃を発射されたと発表した。船体の一部が損傷し、4人がけがをしたという。近海ではフィリピン船に対する危険行為が相次いでいる。

 アユンギン礁はフィリピンが実効支配している。フィリピン沿岸警備隊などによると、5日朝、アユンギン礁に駐屯する軍への補給任務に当たっていた補給船と沿岸警備隊の巡視船に対し、中国海警局の船が幅寄せし、進路を妨害した。さらに2隻に衝突し、1隻に放水銃を発射した。少なくとも4人の乗組員が軽傷を負った。

 沿岸警備隊が公開した映像には、両国の船が徐々に接近して衝突する瞬間や、2隻の中国船がフィリピン船を放水銃で挟み撃ちにする様子が映っている。フィリピン政府は「中国側の正当性のない危険行為が人命を危険にさらし、実害をもたらした」と非難した。

 これに対し、中国海警局は報道官談話で「フィリピン船が故意に衝突した。全責任はフィリピン側にある」と反論。「国家主権と海洋権益を断固として守る決意だ」と主張した。互いに批判し合う事態になっている。

 南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張する中国に対し、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016年、中国の主張には法的根拠がないとして否定する判決を出している。しかし、中国は判決を受け入れず、フィリピン船への妨害活動を繰り返している。大部俊哉

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