第2回<頼母子=Tanomoshi>世界に息づくお互いさま 絆深める場
ブラジルのサンパウロは、日本からみて地球の裏側に位置する。昨年12月中旬のある夜、本場の「シュラスコ」(串焼き料理)を出す店を訪ねると、そこで繰り広げられていたのは日本古来の「講(こう)」を再現するような集まりだった。宗教や地域社会などのつながりを土台に、人々が助け合い、社交を楽しむ舞台だ。
店には月1回、48人の男性が集まる。男性らはほぼ全員が日系人。ブラジルの公用語であるポルトガル語が使われていることを除けば、日本の居酒屋で目にする宴会と変わらない。
「うちの子は明日から夏休みなんだ」「最近は商売が順調だ」。近況報告をする参加者たち。会の終盤で、この「Tanomoshi 2000」を主催するトーマス山本さん(51)は全員に語りかけた。
「それぞれ、今月分の積み立ては忘れないようにしてください」
Tanomoshiの語源は「頼母子講」
Tanomoshi(タノモシ)。日本では近年、耳にする機会があまりない言葉だが、語源は日本語の「頼母子講(たのもしこう)」だ。
記事後半では、中南米以外でみられる「タノモシ」について、専門家の読み解きを紹介します。
頼母子講は、会の参加者が金を出し合い、期日に一定の金額を順番に受け取る制度を指す。無利子でお金を融通しあう庶民の互助会として、鎌倉時代から存在したとされる。だが戦後の高度経済成長期を経て、沖縄や山梨など一部地域を除いて日本国内では廃れた。
一方、海外ではブラジルやペ…
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