渡良瀬遊水地でヨシ焼き 春の風物詩 2200人が見学

根岸敦生
[PR]

 栃木、茨城、埼玉、群馬の4県に広がる渡良瀬遊水地で3日、春の恒例行事「ヨシ焼き」があった。

 遊水地では「よしず」の材料となるヨシ、茅葺(かやぶ)き屋根の素材になるオギなどを刈り取った後、一斉に火をつける。害虫が駆除されて良質なヨシが育つだけでなく、アレチウリなどの外来種が焼けることで、生態系を保全する目的もある。

 地元の4市2町や警察、消防、国の利根川上流河川事務所で構成する「渡良瀬遊水地ヨシ焼き連絡会」が実施し、約720人が参加した。前日に吹いた強い「空っ風」で、ヨシやオギなどはよく乾燥していた。遊水地を囲む堤防の上には約2200人の見学者が集まり、高く上がる炎をカメラに収めていた。

 今年は約1500ヘクタールを焼却する予定だったが、実際には8割にあたる約1200ヘクタールが焼けた。残り火の確認には2019年からドローン赤外線カメラが使われ、鎮火が確認されたのは、同日午後8時25分だった。

 ヨシ焼きの火に追われて遊水地から飛び出してきたイノシシが、栃木市藤岡地区で3頭確認された。

 かつて、渡良瀬遊水地のヨシやオギは各家庭で燃料として使われていたが、昭和30年代から立ち枯れたまま残るものが多くなり、ヨシ焼きが始まった。根岸敦生

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません