埋葬に「赤」、古代メキシコにみる人類が託す亡き人への思い
人間の死生観には、時空を超えた人類共通のDNAでもあるのだろうか。四大文明のはるか遠く、中米に栄えたもうひとつの文明を紹介する特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」(朝日新聞社など主催)。会場の国立国際美術館(大阪市)を訪れて、そう思う。
約140件の至宝が集う空間の一角に、ひときわ異彩を放つ展示がある。マヤの都市国家パレンケの神殿で見つかった「赤の女王(レイナ・ロハ)」(7世紀)の墓の復元だ。パレンケ黄金時代の王妃とされ、文字どおり真っ赤な朱が、これでもかと彼女の全身を覆う。
赤――。それは古来、人類にとって最も重要な色だった。体内を流れる血の色であり、生命のあかしであり。辰砂(しんしゃ)から生成する水銀朱や酸化鉄のベンガラを遺体に振りまく行為は古くより世界中にみられ、日本でも縄文時代から弥生、古墳時代と長きにわたって墓穴や石棺で確認できる。
そこに込められたのは、邪悪…
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