文化遺産を取り巻く最近の国際動向は 多様化する世界遺産めぐり議論

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編集委員・中村俊介
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 文化遺産を取り巻く世界は、いまも刻々と変化を続けている。海外と連携してその保護をめざす文化遺産国際協力コンソーシアム(事務局・東京)は、このほど研究会を東京と京都で相次いで開催。ユネスコ国連教育科学文化機関)の世界遺産無形文化遺産などをめぐる最新の動向が専門家から報告された。

 昨年9月のリヤド(サウジアラビア)での世界遺産委員会では、1199件という登録物件の増加に歩調を合わせるかのように、新たな動きがあった。新類型となる「記憶の場(サイト・オブ・メモリー)」として第1次世界大戦の墓地など3件が加わり、いっそうの多様化が進む。

 昨年11月の東京文化財研究所での報告を聞く限り、登録の可否を決める委員会決議と専門的な評価を受け持つユネスコ諮問機関の勧告との間で常態化している推薦候補の評価の食い違いは、近年もそう大きく変わらない。ただ鈴木地平・文化庁文化財調査官によると、ここ数年推薦国に目立つ「評価過程が見えない」といった諮問機関への不満は透明化が進み、摩擦解消に向けた模索は着実に続いているようだ。

 2003年に採択された無形…

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