遊川和彦が書き直した「アイのない恋人たち」人生かけた人間ドラマ

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照井琢見
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 常識はずれで、それでいて強い信念がある。ドラマ「女王の教室」「家政婦のミタ」などを手がけた脚本家・遊川和彦さん(68)の作品には、そんな主人公が登場する。ところが放送中のドラマ「アイのない恋人たち」(テレビ朝日系・日曜夜10時)に登場するのは、人との距離感にうじうじ悩む、等身大の若者たちだ。作品はいよいよ終盤。ドラマ界の鬼才は何に挑んだのか、たっぷり語ってもらった。

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 今までの作品は結構、どっしりして変なことを言う主人公が多かったじゃないですか。「遊川はこういうものを書くんだ」というイメージがあって、幸せなことにそういうオファーもたくさんあります。でも本人としては、作品がパターン化して、進化していない感じがしちゃって。その逆をそろそろやりたいなと思ったんですね。もう年だし、作風を変えたかった。

 ただ実は、「アイのない恋人たち」も最初は昔のテクニックで書いていたんですよ。主人公の久米真和(福士蒼汰)は、もっとハードで、かっこいいことを言う人だった。それがどうもリアリティーを感じなかったんです。今の人間はこうなのだろうか、と。自分の恋愛観や時代観を押しつけているような気がしたんです。

 監督の綾部真弥さんが何げなく、「今の若い人には、恋愛に関心がない人が増えているそうですよ」と言ってくれたんです。なぜ恋愛しなくていいかといえば、ひとりの方が楽で、他にいろんなものがあるから。そこを全く自分は描けていないと分かった。恋愛関係が大事だと決めつけていたし。それで、「話を変えさせてくれ」とプロデューサーに頼みました。

ドラマ量産時代、遊川さんが抱く危機感は。主人公「真和」の名に込めた思いは。

ドラマ界が危ない

 書き直してみると、かっこい…

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