「悔しさは100%」報徳学園の大角監督 かつては離れたかった野球

森直由 岡田健
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 (31日、選抜高校野球大会決勝 健大高崎3―2報徳学園)

 安打性の打球を何本も防いだ二遊間の位置取り、そして九回2死からの盗塁。「生徒たちはよくやってくれた。グラウンドのなかでも周りがみえて、自分で考えて行動してくれた」。報徳学園の大角健二監督(43)は選手らの成長に喜びを感じた。ただ、続けて「悔しさは100%」。2年連続、選抜決勝で敗れた無念さをにじませた。

 報徳学園で捕手として甲子園に4回出場した。プロを目指し立命館大に進学したが、入部してすぐに右ひじを故障した。2度手術し、思うように球を投げられなくなった。4年生では試合に出られないのに主将に指名され、ストレスで眠れない日が続いた。

 引退し「やっと野球から離れられる」と、救急救命士への勉強を始めていたときだった。恩師として慕っていた報徳の竹村洋一部長(当時)が死去。引退の報告をするはずの電話がつながらなかった、その数日後の悲しい知らせだった。

 「話がある」。葬儀の場で永田裕治監督(当時)から言われた。後日学校に行くと、コーチ就任を依頼された。「また野球か」と思ったが、「竹村先生のために」と断れなかった。

 部長を経て2017年に監督に。大学時代の経験もあって、「ベンチに入れない選手の気持ちを真に理解できるようになった」。今では部員92人の大所帯を率いる糧になっている。

 昨年の同じ時には夏の飛躍を誓ったが、全国選手権兵庫大会の5回戦で敗れ、甲子園に戻ることができなかった。「もう絶対。何が何でも出たい。そのためには層の厚いチームを作っていきたい」。夏に向けて、強い力を込めた。(森直由、岡田健

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