「また真剣勝負」と言った度会、頭を下げた黒原 その姿を見て考えた

安藤仙一朗
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 期待の星を襲ったアクシデントに、球場は騒然とした。

 30日のDeNA―広島の2回戦。一回のDeNAの攻撃、広島・黒原拓未が投じた3球目が1番度会隆輝の頭部に当たった。度会はその場にうつぶせになり、しばらく動けなかった。

 怒声が交じった「広島倒せ」のコールが球場にとどろく。およそ5分後、度会は元気な様子でグラウンドに戻ってきた。直後に二盗を決め、本拠のファンたちを安心させた。

 胸をなで下ろしたのは、危険球で退場処分となった黒原も同じだ。

 「当ててしまうのは本当にいけないこと。(グラウンドに)出てきてくれたときは安心した」

 一夜明けたこの日の試合前練習。広島の菊地原毅投手コーチに伴われ、DeNAの三浦大輔監督、度会に頭を下げる黒原の姿があった。

 黒原は一昨年5月に、相手選手に死球を当てて戦線離脱させてしまったことで誹謗(ひぼう)中傷の被害を受けたことがある。

 今回、不幸中の幸いなのは、度会が元気だったこと。死球を受けた30日の試合で本塁打を含む4安打の大活躍を見せた。

 試合後に度会は「全力プレーなので(死球は)仕方ないこと。また対戦できる機会があれば、真剣勝負がしたい」と黒原を気遣った。

 三浦監督と度会に頭を下げた後の黒原に、記者は度会の「また真剣勝負がしたい」という言葉を伝えた。

 神妙な表情は崩さず、「また対戦できたら、腕をしっかり振って全力勝負したい」と話した。

 DeNAファンにとっての度会がそうであるように、2021年秋のドラフト会議で1位指名されて入団し、左腕から力のある速球を投げ込む3年目の黒原もまた、広島ファンにとっての期待の若手だ。

 2人のやりとりを通じて、ファンにもいま一度考えてみてほしい。(安藤仙一朗)

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