第6回米国は選手の不祥事どう防ぐ 世間が罰求めたとき指導者がとった選択

有料記事大学スポーツを考える

聞き手・後藤太輔
[PR]

連載「大学スポーツを考える」⑥

 日本大学は、複数の部員による違法薬物問題を受けて、アメリカンフットボール部の廃部を決めました。大学スポーツが盛んな米国では、同種の問題にどう対処してきたのでしょうか。全米に先駆けて、学生選手の人格教育や体育会の改革を手がけてきたジョージア工科大学の元体育局長、ホーマー・ライスさん(97)に聞きました。

       ◇

 米国の学生選手も多くの課題を抱えています。学業面や経済面の問題はもちろん、大きな重圧が精神的な疲労やうつ病燃え尽き症候群につながることがあります。競技力の向上や、不安やけがの痛みを和らげるために、薬物や大麻に手を出すこともあります。

【連載①】運動部の不祥事を考える 40大学が回答 背景や対策、学業基準など

運動部員の不祥事を防ぐため、大学はどう取り組み、どんな問題意識を持っているのか。朝日新聞がスポーツで実績を上げている大学にアンケートを実施したところ、学生選手の教育に向き合おうとする回答が多く寄せられました。

 禁止薬物が増えている上、オンラインギャンブルや報酬に関する問題も抱えており、選手が直面する問題は大きく、複雑になり続けています。

 日大では、複数の選手が違法薬物を使用し、監督やコーチ陣が問題を認識していながら、対処しなかったようですね。私見としては、大学は問題を解決するまでの間、部を一時活動停止にし、使用した選手に出場停止処分を科すことがあってもいいと思います。

 全米大学体育協会(NCAA)に加盟するほとんどの大学には、選手やコーチの行動を監視するためのコンプライアンスオフィサーがいます。選手はルールに従うことを約束し、奨学金を得る趣意書にサインをしており、大学には処分をする権限があります。

 ただ、米国では多くの場合…

この記事は有料記事です。残り973文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年3月6日12時30分 投稿
    【視点】

    人は誰でも、間違いや過ちを犯すもの。過ちを犯した学生に、「悔い改め、再チャレンジする機会を与えることも必要」。そんなホーマー・ライスさんのご意見、大賛成です。 ただ、日大アメフト部の場合、指導者側や学校側の対応で不適切なことが積み重なりま

    …続きを読む