じわり広がる「子ども短歌」 日常を詠むみずみずしい感性の魅力

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小林未来

 全国の小中学生から短歌を募る「さいたま子ども短歌賞」(主催・さいたま市教育委員会)が今年度、11回目を迎えた。小中学生を対象とした短歌の賞は全国的に珍しいといい、参加人数と応募作品数はいずれも初回の約1・7倍に増えた。受賞した子どもたちに、短歌の魅力をどんなふうに感じたのか聞いてみた。

よぐきたなんだごでんだごでなんだべなわたしにとって外国語かな

 さいたま市立仲町小6年の佐藤花糸(けいと)さん(11)は昨夏、祖父母のいる山形県に帰省したときのことを詠み、優秀賞に選ばれた。

 「よぐきたな」「んだごでんだごで」「なんだべな」は、祖父母がよく使う「よく来たね」「そうだねそうだね」「なんだろうか」という意味の方言をそのまま引用した。

 佐藤さんは学校の宿題でこの短歌を詠み、応募した。「山形の風景や雰囲気が大好きという気持ちを込めた。方言の発音がおもしろいと思って題材にした」

 2時間ほどかかったというが「詠むのは楽しかった。短歌は、感情を表す言葉を入れなくても気持ちをそのまま表せる感じがいいと思った」と話す。

 同市立岸中1年で吹奏楽部に所属する荻上美都さん(13)の作品も、優秀賞に選ばれた。

記事後段で優秀賞に選ばれた作品一覧を紹介しています

放課後は音楽室に走ってくクラ…

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    サンキュータツオ
    (漫才師・日本語学者)
    2024年2月29日7時30分 投稿
    【視点】

    「短歌は、感情を表す言葉を入れなくても気持ちをそのまま表せる感じがいいと思った」 という佐藤花糸さんの言葉は、「うれしい」「たのしい」といった感情形容詞を使わずに心理描写をするという、文芸の神髄を理解していて正直感動しました。 俳句は景描写

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    木村司
    (朝日新聞社会部次長=沖縄)
    2024年3月1日10時50分 投稿
    【視点】

    こころも、からだも、どこにでもどこまででも飛んで行けそうな、それでいて何げない日々のひとときをいとおしむ。なんて儚く、なんて豊かな瞬間なんだろう、と記事中の作品の数々を読み、思いました。短歌どころかいわゆる「国語」がきらいで苦手でしかなかっ

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