高齢者・飲酒運転・自転車3本柱で作戦 事故死者年30人以下目標に

小幡淳一
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 年間の交通事故死者数を30人以下に抑えるため、岩手県警は「高齢者の事故抑止」「飲酒運転根絶」「自転車の安全」の三つを重点対策に掲げた「アンダー30(さんじゅう)作戦」を初めて展開している。過去10年間の統計に基づき、事故が多発した日を示した「交通安全カレンダー」を作成するなどして安全意識の向上を図り、取り締まり強化も進めている。

 県警の速報値によると、2023年は1年間で1503件(前年比8件減)の交通事故が発生し、死者は35人(同2人減)、負傷者は1796人(同16人減)だった。発生件数と負傷者数は20年連続で減り、死者数は統計が残る1948年以降で最少を記録した。

 しかし、「下げ止まりの状態」(交通企画課)といい、初めて作戦に取り組むことを決めた。

 死者のうち65歳以上のお年寄りは全国平均を11ポイント上回る65・7%で、過去5年間ではいずれも6割を超えた。運転中も歩行中も事故に遭っており、安全意識を高めるため、必要な情報が届くように警察官が高齢者の家を訪問したり、目立つ街頭活動をしたりする。

 飲酒運転による事故や摘発は前年より件数が増加した。過去5年間で死亡事故は毎年起きている。県警は分析に基づき、夜間以外の時間帯でも取り締まりを強化するほか、飲んで運転するドライバーの情報を通報する制度などを活用する。

 自転車の事故対策では、着用が努力義務化されたヘルメットについて、高校生たちに協力を呼びかける一方、悪質で危険な違反行為を取り締まる。積雪が少ない今年は、冬でも自転車が減っておらず、手を緩めずに対策をとるという。

 交通安全カレンダーは初めて作成されたもので、過去10年間で重傷以上の事故が15件を超えた日を警戒日、12~14件を注意日とした。県警のホームページで公開しており、危険な日は特に重点を置くという。

 同課の担当者は「死者数ゼロが理想だが、30人以下はなかなか手が届く目標ではない。全力を挙げ、真摯(しんし)に取り組みたい」と話している。(小幡淳一)

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