炎に見立て裸の男に水をかけるかける 真冬の奇祭、始まりは江戸大火

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小幡淳一
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 容赦なく全身を包み込む冷気。肩を組み合った男たちの野太い声が響き渡る。震えを抑えるため、一緒に大声を張り上げる。

 見えるのは裸の背中ばかり。前方がどうなっているのかわからない。

 「うぉー!」

 突然、雪崩を打つように視界が開けた。男たちが一斉に走り出したからだ。

 後に続くと、いきなり目の前が真っ白になった。清めの冷水をドバッと浴びたのだ。

 あっという間に全身ずぶぬれ。寒い。痛い。笑うしかない。雄たけびを上げながら走った。

 岩手県一関市で2月11日に開かれた「大東大原水かけ祭り」。県指定無形民俗文化財に登録され、「天下の奇祭」と呼ばれている。

 火防を祈り、男たちは360年以上も前から大原商店街を走り抜けてきた。

ランナー記者として各地を走り、取材を続けてきた筆者(盛岡総局所属)。「走る」とあれば、奇祭だって参加しない理由は見当たらない。実際に走ってみると、その魅力と奥深さをまさに素肌で感じることになった。

 祭りは1657(明暦3)年…

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