ストなき賃上げ交渉 物価に見合う回答へ、問われる労使の協調路線

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記者解説 編集委員・沢路毅彦、ニューヨーク支局・真海喬生

 物価が上がるスピードに賃金が追いつかず、生活が苦しい人が目立っている。厚生労働省が2月6日に発表した2023年分の毎月勤労統計調査(速報)は、物価を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年比2・5%減。20年の水準を100とした指数でみると23年は97・1で下落傾向だ。

 労働組合が連携して経営側と交渉する「春闘」は今月から本格的に始まった。労使とも賃上げの必要性ではおおむね一致しているが、上げ幅や規模などでは双方の主張に隔たりもある。

 賃金が上がらない理由の一つとして指摘されてきたのが、賃上げを強く要求しようとしない労組側の姿勢だ。

 春闘は1955年に始まった。労組側が要求日や回答日をそろえることで経営側に全体的に圧力をかけて、交渉を有利に進めることが狙いだった。ストライキの日程も戦略的に組まれ、特に鉄道のストが春闘相場の形成に影響した。

 かつては当たり前に行われていたストは激減している。厚生労働省によると、半日以上のスト件数は2022年は33件しかない。

ポイント

 ストライキは経営側よりも立場が弱い労働者の交渉力を高め、賃上げに効果がある。米国ではストが多くの業種に広がっており、日本でも再び増加するのか注目される。日本でも1970年代半ばまで活発だったが、労使の協調路線のなかで激減してきた。

 ピークの1974年には51…

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