住まいは「災害より利便性」重視? より安全な土地を選ぶポイントは

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編集委員・佐々木英輔
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 1月に起きた能登半島地震では、激しい揺れや津波による被害の大きさを改めて思い知らされた。日本はどこでも地震のリスクを抱えている。気候変動により、激しい豪雨による水害や土砂災害の頻発も懸念される。

 できるだけ安全な場所に住むことも、被害を小さくする選択肢だ。どんな手段と課題があるのか。

 能登半島地震では、震度7や6強を観測した石川県の能登半島北部を中心に、激しい揺れで木造住宅の倒壊が相次いだ。その多くは1981年以前の旧耐震基準で建てられた建物とみられ、新基準の建物の被害は小さかったと報告されている。

 阪神・淡路大震災熊本地震など、これまでも言われてきた耐震化の大切さが改めて裏付けられたといえる。

 一方、そこまで激しい揺れではなかった富山県新潟県でも、液状化で住宅が傾く被害は相次いだ。金沢市では宅地が崩れ、住宅が倒れ込んだ。

「液状化マップ」知られず 土地の特徴見極めを

 耐震性が高い住宅でも、地盤が動いてしまえば被害は免れない。

 「液状化などの被害は、地形やハザードマップからみて、発生しやすいところ、起きて不思議でない場所で起きている」。現地を調べた「だいち災害リスク研究所」の横山芳春所長はこう話す。同じ地域でも、目立った被害がないところと、被害が大きいところの差が際立つという。

 激しい液状化被害が起きた石川県内灘町は、砂丘のすその部分が地盤ごと横方向に流れたことが被害を大きくした。新潟市では、砂丘のすそや、川沿いの低地「後背湿地」のほか、昔は川だった場所(旧河道)、池や沼だった場所などに被害が集中している。

 東日本大震災や熊本地震でも、同じような場所で液状化による宅地の被害がみられた。液状化は、ゆるい砂の地盤で、地下水位が浅い場所が大きく揺さぶられると起きやすい。杭や地盤改良などの対策工事もあるが、個人で取れる対策は限られてくる。

 横山さんは、住まい選びでは、耐震性能とともに、土地の特徴を見極めるよう勧める。ただ、自治体が「液状化マップ」を公表していても、必ずしも知られていないのが現状で、今回も住民から「安全な地域だと思っていた」との声を聞いたという。

 宅地の崩壊も、谷を埋めた造成地や土砂災害警戒区域など、これまでリスクが指摘されてきた場所に目立つ。危ない場所がすべて警戒区域になっているわけではなく、崖の間近や、古い擁壁なども注意が必要という。

 地形の成り立ちを示した地図は、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/別ウインドウで開きます)や「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp/別ウインドウで開きます)などで見られる。災害伝承碑や活断層の位置も表示できる。

 揺れやすい地盤かどうか調べられるサイトもある。

 防災科学技術研究所の「地震ハザードステーション(J―SHIS)」(https://www.j-shis.bosai.go.jp/別ウインドウで開きます)などだ。朝日新聞デジタル「災害大国」の「揺れやすい地盤」(https://www.asahi.com/special/saigai_jiban/)からも調べられる。

 同じ地域でも、揺れやすさによって震度が大きく変わってくることが読み取れるはずだ。

 かつては「地価が下がる」と…

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