原発「無事」の内実は 事故時の避難と屋内退避に求められる最低条件

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編集委員・佐々木英輔
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 能登半島地震では、震度7が観測された石川県志賀町北陸電力志賀原発にも関心が集まった。

 使用済み核燃料の冷却が一時停止、変圧器からの油漏れ、モニタリングポストの欠測、非常用発電機の停止……。次々にトラブルが判明し、情報発信にも課題を残した。あちこちの道路が寸断し、事故時の避難の難しさが改めて論議になった。

 長く運転が止まっていて、すぐに危機に陥る状況ではなかった。電源も複数残っていた。ひとまずは安心だが、多重の安全対策が次々に破られて手に負えなくなった東京電力福島第一原発事故を思い起こせば、安心しすぎるのは禁物だ。

 先日、あるシンポジウムで「直下で震度7が起きたのに原発は無事だった。騒ぎすぎだ」という趣旨の発言を聞いた。もしそういう誤解が広まっているならよくないので、いくつか事実関係を押さえておきたい。

 志賀町で震度7が観測されたのは原発の付近ではない。町の北部、合併前は富来町だったところで、原発から10キロ以上離れている。この観測点のすぐ近くに激しい建物被害はみられず、被害が大きかった場所との揺れ方の違いや地盤の特徴が専門家の間で指摘されている。

 北陸電力の発表によると、原発で観測された揺れは1号機の地下で震度5強。稼働中なら原子炉が自動停止する大きさだったが、主要機器で想定していた最大レベルには達していない。

 今回の地震を起こしたとみられる活断層は、能登半島の北岸に沿う、やや離れた位置にある。地下では半島の下に潜り込んでいるが、原発の敷地は外れている。原発で想定していた最大級の揺れは、もっと間近の活断層が動くとして計算していた。

過去には「連動は考えがたい」

 つまり志賀原発にとっては…

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