天竜川和船下り、木造船を新造中 春にデビュー、時代に合わせ小型化

佐藤仁彦
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 天竜川で観光用の和船を運航する「南信州リゾート」(長野県飯田市)が、春の観光シーズンにデビューする木造船2艘(そう)を、高森町の造船所で建造している。新しい船は今より小型化を図り、安全性と乗り心地を大幅に向上させる。船外にエンジンを付けて、新しい運航ルートを採り入れることも検討している。

 同社は、地元自治体などが出資する南信州観光公社の子会社。コロナ禍の赤字を理由に撤退を表明した前運航会社から事業を引き継ぎ、2023年春から「天竜川和船下り」の名で運航を再開した。新しい船の建造は通算して3年ぶりとなる。

 新しい船は16人乗り、全長約9メートル。これまでは28人乗り、同約13メートルの船だったため、定員は減るが、大人数の団体客よりも少人数の家族連れが増えてきた時代のニーズに合わせる。船をコンパクトにしたことで、操船もしやすくなる。

 船は、従来のベンチ式をやめ、背もたれとひじ掛けのある座席式にすることで、乗客の快適性と安全性を高める。

 また、新しい船にはエンジンを取り付けられるようにしたいという。将来的に、川を遡上(そじょう)したり、途中で川べりに立ち寄ったりするなど、新しいルートを採り入れた旅行商品を売り出すことを視野に入れている。

 1月上旬、造船所の中では4人の船大工が、真剣な表情で根羽スギやヒノキの板を削ったり、クギを打ち込んだりする作業に没頭していた。木づちやカンナを振るう音が響くなか、船体が組み上がっていく様子を見学に来る近所の人の姿もあった。船は2月中の完成を予定している。

 南信州リゾートの社員で、船頭と船大工を兼ねる南島純さん(42)は「船の基本的な造り方は、江戸時代から変わらず続いてきたものなので、この文化を守っていきたい」という。「今度はユニバーサルデザインを意識し、乗り降りしやすい船にもなるので、新しいファンを増やしていきたい」と話した。

 運航に関する問い合わせは同社(0265・49・0075)へ。佐藤仁彦

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