カンサイのカイシャ ここがオモロイ!
酒の神様を奉る神社で採った酵母と、由緒ある寺院の日記に記された製法をもとにした「神仏習合」の日本酒を造る酒造会社が、奈良県宇陀市にあります。ただ、杜氏(とうじ)を務める社長は「日本食には全く合わん」と断言。日本酒らしくない、個性的すぎるそのお味は、いかに。
なぜこんな味に
「今となっては真面目やないわな。あほなことして遊んでます」。芳村酒造の芳村隆博社長(70)は開口一番、そう言って笑った。
「神仏習合の酒」は、酒造りの神様として知られる大神(おおみわ)神社(奈良県桜井市)のササユリから採取された「山乃(やまの)かみ酵母」を用い、興福寺(奈良市)の僧侶らが室町後期から江戸初期にかけて記した「多聞院(たもんいん)日記」に出てくる技法をもとに造られた日本酒だ。
清酒発祥の地とされる奈良。その奈良を代表する社寺の組み合わせ。さぞかし奈良らしいお酒だろう、と思いきや……。
グラスに注がれた酒は一目でわかる琥珀(こはく)色。口を近づけると独特の香りがする。そして、どっしりした甘みと酸味。記者のイメージしていた日本酒とは随分違う。
芳村社長は「紹興酒に砂糖を入れた味、というのが一番近い。同業者には『みりんや』『こんなもん飲めるか』、ぼろくそ言われたな」。
なぜこんな味になったのか。
日本酒を仕込む際は玄米を磨…
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- 【視点】
おもろうまそうなお酒と、それを醸す洒落た社長さんを取り上げたこの記事。お酒や奈良が好きな人にはもちろん、社寺・記紀万葉・考古学に関心のある方々にも刺さったのではないでしょうか。その一人として、気づきを少し。 学生のころ、ほんのちょっと
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