季節で変わるかかし集団 制作者訪ねると「何やってんだろ、俺って」

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小幡淳一
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 お正月には、七福神に御利益を期待する。節分のころは、顔が真っ赤な赤鬼が登場。夏祭りの時期には、おみこしをかついだり、太鼓や笛を奏でたり。ハロウィーンの前後には、カボチャで飾り付け。サンタさんに変身するのは、クリスマスのシーズンだ――。

 岩手県宮古市田老には、季節ごとに衣装が変わる、ユニークなかかしがたくさん置かれた名所がある。

 記者(53)は普段、朝日新聞盛岡総局に所属し、取材活動をしている。そのかたわら、夜通しで長距離を走るウルトラマラソンに出場したり、トレーニングのために岩手県内を中心に広範囲を走り回ったりしている。その時に見つけ、気になった光景だ。

 最初に遭遇したのは2023年4月。早朝、田老をランニングしていた時だった。道の駅「たろう」まで約700メートルの草地に差し掛かると、突然、派手に飾り付けた人形たちが現れた。

 よく見ると、7体ある。脇には「手をあげて 自分も相手も ニコニコだ」というのぼり旗。学生服姿などで自転車を押したり、たすきを掛けたりし、春の交通安全を呼びかけている。

 近くには、自由に打ち鳴らせる釣り鐘もあり、遊び心も盛りだくさん。笑っちゃうような光景だった。

 昨年7月に再び通りかかると、衣装が様変わりしていた。頭に「北の海女」と書かれた手ぬぐいを巻いた、NHKドラマ「あまちゃん」のそっくりさんだった。マイクを握って笑顔で歌っていた。

 定期的に変えているのか。誰が、何のために?

過去に津波が何度も襲い、水田が荒れ果てて「田が老いた」というのが地名の由来ともされる岩手県東部の宮古市田老地区。海岸線を進むと突如としてユニークなかかしの集団が現れる。思わず笑っちゃうような光景。作っている人に話を聞くと……。

 地域の人に尋ねたところ、元…

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