PCR検査装い出資募った疑い、6人逮捕 100人から数十億円か

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 新型コロナウイルスのPCR検査事業を実施すると装って出資を募り、現金をだまし取ったなどとして、警視庁は17日、健康関連ベンチャー企業(東京都千代田区)代表取締役の男性(44)ら6人を詐欺や金融商品取引法違反(無登録)の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。

 男性のほか、投資会社代表取締役の入江正和容疑者(50)ら3人を両容疑で逮捕し、他に別の投資会社代表取締役の曽我郁人容疑者(29)ら2人を金商法違反の疑いで逮捕した。警視庁は、2022年春から秋にかけて100人超から数十億円を集めたとみている。

「都の補助金で利益」 実際は参加せず

 捜査関係者によると、男性らは共謀して22年夏ごろ、都のPCR検査事業を実施すると装い、都内の会社役員ら3人に出資を持ちかけ、計約6千万円をだまし取った疑いがある。国の登録がないのに、この会社役員ら5人から計約4億円を集めた疑いもある。

 事件で悪用されたのは、感染の不安がある無症状の都民が無料で受けられる検査事業。男性らはこの事業を挙げ、「コロナはあと1年は収束しない」「約2千円のPCR検査キットを買えば補助金で約1万円の利益」などと言って出資を募ったが、実際には実施しなかったという。

 警視庁は、詐欺や集金の仕組みは男性らが考え、入江容疑者らが勧誘役に指示していたとみている。検査キットの事業者と取引があるように装っていたという。

コロナ禍で業績伸ばす メディア露出も

 出資者のなかには数千万~十数億円を出資する人もいた。コロナ禍で事業に失敗し、出資した被害者もいたという。

 このベンチャー企業は20年設立。民間信用調査会社などによると、新型コロナのPCR・抗原検査キット販売で業績を伸ばし、22年11月期の売り上げは約57億円だった。同社や男性がメディアに取り上げられたこともあった。

 自社HPでは23年2月、「当社及び当社役員がかかる投資案件に関与しているという事実は一切ございません」と発表していた。

 都の事業は21年12月~23年5月に実施され、事業費は予算ベースで1002億円だった。都内に延べ1666カ所の無料PCR検査所を設置していた。御船紗子

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〈おことわり〉東京地検は詐欺と金融商品取引法違反(無登録)の疑いで逮捕された健康関連ベンチャー企業の代表取締役の男性(44)について、2月27日付で不起訴処分とした。

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