年収の壁撤廃はジェンダー平等のため? 「女性活躍」と首相の真意

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聞き手 編集委員・塩倉裕
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 パート労働者らが手取りを減らさないように労働時間を抑える、いわゆる「年収の壁」問題。政治学者の堀江孝司さん(東京都立大学教授)は、岸田文雄首相に根本的改革はできないと語ります。壁の問題が映し出す日本政治の課題とは何でしょう。

 年収が一定額を超えるとパート労働者らの手取りが減ってしまう――。「年収の壁」とも呼ばれているこの問題について岸田文雄首相は先日、「根本的に制度を変えないといけない」との認識を示しました。

 しかし、実現性の観点から言えば、岸田さんには根本的な改革はできないと思います。政権にそれだけの体力がないうえに、そもそも岸田さんにこの問題への関心があったのかどうかさえ疑問だからです。

 今の制度では、会社員や公務員に扶養されている配偶者は、働いても年収が少なければ、年金や医療の保険料を負担せずに済みます。そのため、年収が一定額を超えないよう労働量をセーブする人が出てくるのです。制度が対象にしたのは主に女性でした。「夫が稼ぎ、妻を扶養する」という性別役割分業を前提に作られた制度だったのです。

安倍政権の延長線上に」

 ではなぜ、岸田さんは見直し…

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