広島市長公館の廃止を検討 跡地に「浅野文庫」移す専用図書館の案も

魚住あかり
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 広島市が市長公館(中区上幟町)を廃止し、跡地に市立中央図書館が所蔵する「浅野文庫」などの資料を収める専用の図書館の設置を検討していることが、複数の関係者への取材でわかった。2029年度の開館を予定し、現時点で概算事業費は約37億円を見込んでいる。

 浅野文庫は、旧広島藩主の浅野家が寄贈した古書などのうち、原爆による被災を免れた約1万点の資料群で、現在は中区基町の中央図書館に保管されている。

 市の作成した整備基本計画案によると、新設する図書館にはそれらの資料のほか、広島ゆかりの文学者の資料が収められる。近世から現代までの広島の郷土文化を、体系的に伝えることが狙いだ。施設内には、展示コーナーや閲覧室、セミナー室なども設置される。

 市長公館は、浅野家別邸の庭として造られた「縮景園」に隣接している。1973年に完成し、敷地は約1980平方メートル。現在は松井一実市長が入居する。市は老朽化した公館を、2026~28年度に解体する。解体費を含む事業全体の財源は、国の補助金や市民からの寄付でまかなうことを検討している。

 市立中央図書館は、JR広島駅南口の商業ビル「エールエールA館」への移転計画が進んでいる。それに伴って、市は浅野文庫の新しい保管場所を作ることを、23年6月に発表していた。(魚住あかり)

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