東北一住み続けたいのは3年連続であの街 適度な距離感の人間関係

福留庸友 高橋昌宏 清水康志
[PR]

 賃貸住宅建設大手の大東建託が行った居住満足度調査「住み続けたい街ランキング2023東北版」で、宮城県富谷市が3年連続の1位になった。山形県内からは東根市が2位となったのをはじめ、遊佐、山辺、天童の4市町がトップ10入りした。

 調査は、調査会社マクロミルに登録している20歳以上のモニターに、インターネットを通じて行われ、東北6県の計4万4931人が答えた。モニターが住む自治体について「ずっと住んでいたい」という問いに、「そう思う」「どちらでもない」「そう思わない」など5段階で評価してもらう。段階ごとに点数を割り当てて平均値を算出し、順位付けした。毎年の回答者に重複はない。

 2位の東根市は前年の7位から順位を上げた。居住者からは「駅が近いので行きたい所にすぐ行ける」「町がきれいで買い物がしやすい」との評価があった。

 県の社会的移動人口の調査結果(2022年10月現在)によると、県内で前年より人口が増えたのは東根市だけだった。転入者が転出者を上回る「転入超過」の増加率も最も高い。また、年齢区分別の割合では、年少人口で1番目、生産年齢人口で2番目に高い。周辺自治体からの流入などが続いているためだ。 同市は山形空港や、山形新幹線が停車する「さくらんぼ東根駅」、東北中央道のインターがあり、アクセスに恵まれている。市総合政策課は「これまでの様々な取り組みが高評価につながっているのでは」とみる。高校卒業までの医療費を無料としたり、県立東桜学館中学校・高校を誘致したりと子育て政策に力を入れているのが強みという。

 注目は3位の遊佐町。前年、回答者50人以上の基準に達せず、集計の対象外だった。今回、「街に愛着がある」「街に誇りがある」との設問への回答結果を反映したランキングでも各1位を獲得。「自然が豊かで、静か」などの回答があった。

 鳥海山のふもとに広がる遊佐町は豊かな湧水(ゆうすい)に恵まれ、米や農作物のおいしさは折り紙付き。遊佐町企画課は「住んでもらえば魅力を感じられる町。居心地の良さや子育て支援策が評価されたのでは」と話す。

 一方、人口はピーク時の1950年度の約2万6千人から半減し、現在は1万2千人余り。移住促進に力を入れているが、首都圏など県外の人から「どこにあるのかわからない」「町名が読めない」などの声が出るなど、知名度不足に悩まされてきた。担当者は「ランキング入りが遊佐町を知ってもらうきっかけになれば」と期待している。

 調査を行った麗沢大の宗健教授は、富谷市が1位となった理由を「まずは生活の利便性の高さが大きい。新興住宅地で特有の適度な距離感の人間関係も好まれている」と説明する。全国各地で人口減が進むなか、同市ではこの10年、増加傾向が続き、「2度目の高度成長期のような特異な状況」という。回答者からは「買い物の交通アクセスが非常に良い」(47歳男性)、「通勤が便利。子ども支援が充実」(34歳女性)、「田舎でもなく都会でもないから住みやすい」(44歳女性)との声があった。宗教授は、今後も上位が続くとみている。

 教授はこのランキングについて、「街を理解するきっかけになり、最終的に活性化や移動につながれば」と話した。

 調査は2020年に始まり、今年で4回目。岩手県盛岡市の12位、秋田県三種町の18位が最高だった。福留庸友、高橋昌宏、清水康志

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら