飛島の民話がアニメに 酒田市が「海ノ民話のまち」認定

清水康志
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 山形県酒田市の飛島に伝わる民話を題材にしたアニメ「トドの恩返し」(5分半)が完成した。海にまつわる民話や伝承を通じ、地域の誇りなどを次世代の子どもらに伝えることが狙い。市は観光PRや教育に活用していく考えだ。

 アニメ制作は、一般社団法人日本昔ばなし協会と日本財団が2018年から推進する「海ノ民話のまちプロジェクト」の一環。全国から民話や伝承を募り、先人の豊かな海の学びが含まれているかといった選考基準に基づいて選び、アニメ化する。

 アニメは昨年度までに42作品が作られ、今年度は25作品が制作される。今回は市や合同会社とびしま(同市)などでつくる実行委員会が応募し、選ばれた。

 東北では「黒神と赤神の戦い」(秋田県)や「いわき鮫川のサメ伝説」(福島県)、「お夏と藤平」(岩手県)、「大根明神のアワビ祭り」(宮城県)などが作られ、県内では鶴岡市が舞台の「湯野浜の大亀」に続く2作品目という。

 「トドの恩返し」は飛島に伝わる同名の民話を基にしている。福太郎という漁師が、子どもたちにいじめられていたトドの子を助けたところ、のちに子連れのトドが現れ、魚やイカがよく捕れる場所を教えてくれたという物語。海の恵みに感謝し、多様な生き物が集まる飛島の豊かな自然を守ることにつなげる思いを込めて制作された。

 昨年12月中旬には、市役所で完成報告会があり、沼田心之介監督から矢口明子市長に「海ノ民話のまち」の認定証が手渡された。

 矢口市長は「昔話のもつ教訓や普遍的な教えをアニメで見られるのは新鮮。飛島への定期船での上映やイベントなどで活用し、教育にも使いたい」。沼田監督は「作品をきっかけに飛島に興味をもち、海の学びに取り組んでもらえるとありがたい」などと語った。清水康志

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